本を書いて起きた燃え尽き、脱稿から約2年経った今だから言えることをまとめる

※おことわり

ネガティブな内容を含みます。

途中から力尽きて読みづらくなるかもしれません、ごめんなさーい🙇‍♂️


約2年前、技術書ブームがありました。僕もその波に乗って一気に3冊の技術書を書きました。

その活動の最中ではあまり話さなかったことがありました。そう、ネガティブな側面です。 執筆時、脱稿直後から感じていて言い出しづらかったこと、最後に本を発行してから約2年が経った今だから見えることがあって、言い出せることがあります。

そんなあたりをまとめてみようと思いました。もちろん良いこともあるので、そこも交えつつ。

いちエンジニアが技術書を書くことの良かったこと、つらかったこと、危険性。

良かったこと

調べて・まとめて・書き出してという一連の流れはとても楽しく、自分の性に合っていました。

  • 調べているうちに自分の考えが確かになっていく。説得力をもった言葉を自分の中に作れて、人に対しても話せるようになる
  • 自分の考えが確かになっていくことがわかると、より良いやり方の可能性が見えてくる
  • より良いやり方が見えてくると、それがまた次の研究テーマになって歯車がまわっていく

こんな流れって、エンジニアを楽しみながらやっていく上でとても重要なことだと思っていて、やっていると自然に技術力も上がっていくことだなと思っています。 同時にやり続ける上でも重要なことだと思っています。

本を書き切ることで、内容が良いとそれにともなって周りからの自分の認知も得られるようになって、業界的な自分の価値も上がったように感じました。

つらいこと

でも本を書く一連の流れはとても厳しいんですよ。

  • なにを書くのか整理するのが難しい
  • 書きたい内容が妥当かどうか調べるのが難しい
  • 書きたい内容をわかりやすく、価値のある情報として出力するのが難しい
  • 「本にする」という大きな単位で成果物を出すのは一貫性を保つのが大変
    • ある一箇所の情報に理解のアップデートがあると、全部の情報を見直して理解し直して文章を直さなきゃいけなくなる
  • 締め切りがつらい

    • 同じ締切を共有する人が居ると、外的圧力がすごく強い
    • 強すぎて心を病むし、人間関係にも影響が出る
      • うまくいくと達成感もひとしおだけど...
    • これがうまくいくように自分を律するのも難しい
      • 定期的に集まる機会を作って、ちょっとずつ進捗を積むようにしたりした(仕組みで解決する方法)
      • うまくまわせるようにサポートしてくれる人が居るととてもやりやすい
        • ※コロナでこれを摂取できなくなった気がする!!!!!
        • 考えてることをすり合わせたりするのがやっぱり難しい
  • 正直に言うと、技術書を書く活動の中で成果物や進行に関して中途半端なことをしてしまった部分があってとても反省がある...(関係者の方々には多大なご迷惑をおかけしていました)

    • 自分に対する肯定感を著しく低下させてしまった。自分はなんてダメなんだという気持ち
    • 締切や約束に対する抵抗感が増す。うまくできなかったときに失望されるという恐怖
  • これが自分のことでなく人がやっていることだと肯定できる

    • 挑戦することの尊さは確実にある
    • 友達とか他の人がなにかに挑戦して、うまくいかなかったりその内容に自信がないという話をしていても、肯定できるけど自分自身に対してはこれが適用されない
  • 書くモチベーションの低下の話

    • 書こうとしている内容に新規性がないと自覚してしまったとき
    • アウトプットすることで自分が報われないと感じてしまったとき

危険性

  • 燃え尽きることの危険性
    • もう無理、これ以上なにか調べたくない、考えたくない、整理したくないって気持ちになる
    • 作業を詰め込んだ結果、その後やりたくなくなった
    • エンジニアとして当然だったはずの、調べて・検証して・まとめるということのリズムが取れなくなった
  • 名前が先行することの危険性
    • そんな気持ち、心理状況とは裏腹に良く書けた本は多く参照され、名前が広がっていく
    • 自分でも良く書けたと思ってはいるけど、自分が強くなったのはその書いた部分と周辺についてのみ
    • 「この内容を書いたということは、当然そのほかのことについても精通していて、強いエンジニアなんだ!」という誤解が広まっているのではないかという不安が強くあった(今もまだある)

雑記

  • 今もまだ全然燃え尽きていて、積極的な技術のキャッチアップができてない
  • 文章を書くことはたぶんまだ好きなので、ちょっとずつこうやって書いていきたい気持ち。技術記事も!
  • 正直「技術書を書く」みたいなデカい単位で成果を出していくのはコスパが悪いかもしれない
    • 燃え尽きることなく、継続的に情報をアウトプットしていける方がフィードバックを早く得られるので続けるリズムを作りやすい
    • ITの分野は時間が流れるのが速いので、一時目立つよりも継続的なアウトプットがある方が価値高いんじゃないかなーと思う。自分の中で情報のアップデートも発生し続けるし(これがコスパの良し悪しの話)
  • 「本を書ききる」っていう実績解除は大きかったけど、代償も大きかったかもしれない
    • やる前は「なんとかなる!これまで挑戦してきたこともなんだかんだうまくいったし大丈夫!やるって手を上げて、時間が経って、そこにはやりきった成果と良い気持ちが待ってる!るんるん!」って精神だったんだけど、ここまで回復を引きずっちゃうとは思わなかったなぁ...
    • 「燃え尽きに気をつけてね」ってお世話になってる人に何度か言われてたんだけど、これが燃え尽きるってことかってわかったよね